おわりに、謝辞

おわりに
現在、アトピー性皮膚炎は様々な要因が合わさって発症すると考えられています。
また、近年の増加率から鑑みて、先天的、体質的な要因よりも、後天的、環境的な要因が大きく影響しているのではと推測されています。つまり、本来の体質としてはアトピーを発症するにははるか遠いところにあるような要因しか持っていないはずなのに、生活に潜む様々な要因によって「アレルギーの起こしやすさ」を獲得してしまい、結果、些細な原因でいつでもアレルギーを発症させてしまう状態になっているということになります。
特に、食物は直接、私たちが触れるものであり摂り込むものですから、アレルギーと深く関わるのも疑いはないところです。しかし、そこにだけ原因があるのではないことも、様々な研究から分かっています。
現代社会に生きる私たちの生活は、夜でも光や明かりに囲まれ睡眠や休息が疎かになりがちです。体内時計を無視した生活は、自律神経バランスを崩し免疫機構を狂わせます。
さらに、運動量の不足もまた神経活動を乱し、皮膚代謝に重要な発汗も不足することから、皮脂膜や抗菌成分の生成も上手くできないことに繋がります。こうした現代ではあたりまえの生活のあり方、社会のあり方こそが、アレルギー増加の根本的原因だといえるのかもしれません。便利さ快適さが、かえって私たちの健康維持を難しくさせている可能性は大きいのです。
かといって文明から完全に離れて生活することも現実的ではありません。恐らくこれから先、未来の社会では体調に直接作用する食事や運動、休息だけでなく生活の便利さ不便さについても、各個人が何をどれだけ取り入れるのか選択し、自分に合った生活を送ることが求められてくるのではないでしょうか。
自らの体の特質を理解し、専門家のアドバイスを受けながら自分の判断で調整する。そういう時代が、もうそこまで来ているのです。

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