アレルギー症状が蔓延する原因の1つとして、現代人の食生活における油脂の質やバランスの悪さを指摘する声も多く挙がっています。油脂は消化の過程で腸内細菌叢に影響があり、体内では細胞膜の構成要素となったりエネルギー源として使われたりします。
しかし油脂の摂取バランスが悪いと、代謝の過程でロイコトリエンなど炎症を招く物質の過剰な生成を招き、肥満だけでなくアレルギーをはじめとする様々な症状に繋がると考えられているのです。
私たちは食生活の中で油脂の存在をなかなか認識していませんが、どんな食べ物にもたいてい含まれていて、動物性食品なら動物性の油脂が、植物性食品なら植物性の油脂が含まれています。
また、油脂は含まれる脂肪酸によっても性質や機能が異なっています。主に常温で固まる油脂には「飽和脂肪酸」が、液状の油脂には「不飽和脂肪酸」が多く、さらに不飽和脂肪酸の中にはオメガ3、オメガ6、オメガ9系の脂肪酸があり、これらを適度なバランスで摂ることが私たちの健康を支えます。しかし、現代人にはこのバランスが大きく偏っている人が多く、飽和脂肪酸やオメガ6系脂肪酸の摂りすぎと、オメガ3系脂肪酸の不足が問題視されています。
特にオメガ3系脂肪酸は腸内細菌叢の善玉菌を増やし、過剰な炎症反応を抑えるとしてアレルギーをもつ人には摂取を勧められています。
[オススメ食材:シソ油]
オメガ3系脂肪酸を多く含む食品としては、特に油ののった背の青い魚やナッツが挙げられます。一般に120グラム程度の切り身を1日に1切れ食べれば、必要とされるオメガ脂肪酸を摂れるとされていますが、1日に20~30グラム程度のくるみやアーモンドなどのナッツ類などでも摂ることができます。また、シソや亜麻仁、えごまなどの実にも含まれていて、これらを絞った油も最近は増えてきました。
オメガ3系脂肪酸は加熱に弱いため、これらの食材をあまり加熱せずに利用することが効率よく摂取するためのポイントになります。
体にいいとはいえ、やはりバランスが大切ですので、オメガ3系だからといって摂りすぎは禁物です。また、種類に限らず油脂はどれも1グラムあたり9キロカロリーと高いカロリーを持ちます。量としては、あくまで脇役程度になるよう心がけます。
(写真:オイル)