ホルモン分泌が免疫系に影響し、アレルギーの原因となっている場合があることをご紹介しましたが、アトピー性皮膚炎においては「PTHホルモン」について特に知っている必要もあるかもしれません。
PTHホルモンは、甲状腺の裏に位置する副甲状腺という器官から分泌されるホルモンで、主に血中のカルシウムやリンの濃度調節などに関わります。副甲状腺に何らかの問題が生じ、このホルモンの分泌が不足すると、骨と血液の間で行われるカルシウムやリンのやりとりに問題が生じ、神経の働きにも障害が起きます。内臓の中では腎臓に作用し、PTHホルモンの減少で腎臓に問題が発生することもあります。
症状として皮膚のかゆみが表れることがあり、アトピー性皮膚炎も挙げられます。他に口の周りのしびれや、テタニーと呼ばれる一時的な筋肉の硬縮などもあり、これらを経験したことがある方は副甲状腺の機能低下がアトピーの原因となっている可能性も視野に入れたほうがいいかもしれません。
原因は、遺伝子異常や免疫異常など多岐にわたるとされていて、血液検査などを経て診断が下されます。症状の程度に応じて、ビタミンDやカルシウム、マグネシウムなどのサプリメントや薬剤が適宜処方され、できるだけ日常生活に支障が出ないように調整します。