第4章:「食べる」の進化
8:生態系における居場所「ニッチ」の奪い合いが生物を進化させる(1407)
地球のもつ様々な条件下でおきている壮大な物質循環に、便乗して存在しているのが生物であり、生物どうしの間でもこの元素のやりとりをする「生態系」という関係が築かれている、と前述しました。
この生態系という生物界の社会は、そのエリアでどういった独立栄養生物、すなわち生産者が住み、それに追随する消費者をどれだけ支えられるか、によって、そもそも数や規模が決まって来ます。
つまり、複数の生物が棲めるといっても、数はある程度限られていて、さらに生態系における順位や地位別に区切れば、その数はさらに絞られてきます。
しかし、ここに組み込まれない限り、継続的にその種の生物がそこに居続けることはできません。
生態系における居場所の確保こそが、生物種の存続に関わってくるのです。
生態系内の居場所を「ニッチ」とよび、同じ様な食性をもつ動物がエリアに入ってきた場合、在来の生物とニッチを奪い合うことになります。そして、この勝負に勝ったものが、残り、負けたものは移動するか、あるいはそのエリアにける絶滅への道を辿ることになります。
生物は、変動する環境に応じて移動し、ニッチを奪い合い、より有利なものが残る、ということを繰り返してきました。このことが、生物の熾烈な競争を生み、またそれこそが進化を促した、とも言えます。
第4章 8:生態系における居場所「ニッチ」の奪い合いが生物を進化させる
