私は乳児期からアトピー性皮膚炎を患ってきました。以来、今40代ですが、よくなったり、悪くなったりしながら、ずーっとアトピーと付き合ってます。赤ちゃんのときからですから、もう「痒い」という感覚は私にとってそう邪魔なものでもなく、ある程度までなら、難なくやり過ごせる相手です。
ところが、さすがに鈍い私でもわかったのですが、どうも仕事や勉強に頑張らなきゃいけないとき、あるいは頑張った直後ぐらいになると、アトピーの痒みはとても強くなり、また引っ掻いたあとの傷や赤みもひどくなるのです。とくに、夜間など次の頑張り時のためにしっかり休まなければならない時間帯に、それはそれは恐ろしいほどの痒みが湧き上がってきます。睡眠は阻害され、皮膚症状は悪化し、当然臨んだパフォーマンスを出す事が出来ずに、精神が落ち込んでしまう。こんなことがよく起きるのです。
ひどい患部にはもちろんステロイドの塗り薬を塗りますよ。塗るとほんとにきれいに治って楽になります。しかし、この効き方こそ私がステロイドへの恐怖を捨てきれない原因でもあります。今はアトピー性皮膚炎の人は湿疹が出ていないときもステロイドを塗って予防する「プロアクティブ」という方法をすすめる医師もいますが、やはりステロイドは副腎皮質ホルモンですからね。常日頃からこれを摂取(皮膚からですが)することに、私は抵抗があるんです。私たちの体には血中に流れるホルモン量を感知し、調節するしくみがあります。ホルモンが多すぎればホルモン分泌を抑え、少なければ分泌を促進するのです。ステロイドを塗れば、本来副腎皮質で生成されるはずの副腎皮質ホルモンが薬剤によって外から補われることになり、副腎が働かなくても副腎皮質ホルモンが十分体内にあることになって、副腎の本来の働きが抑えられてしまうことになりかねません。ステロイドを常用することによって自分の副腎が本来の機能をしないようになってしまうのが怖くて、ステロイドを継続的に使用することができないのです。いま正しいと言われている医学が将来も正しいと言われ続けているかどうかなんて誰にもわからないんですから。