昨日と同じ、電子書籍「アトピー考察ノート」の第1章でふれている内容で、今日はアトピーにおける男女差について、考えてみたいと思います。
臨床の現場では、わりと以前から、アレルギー疾患の傾向にはどうも男女差が存在するのではないか、ということはささやかれていました。しかし、しっかりとした統計が取られていなかったために憶測にすぎなかったのですが、患者の増加に伴い、きちんとしたデータが揃うようになってから、アレルギー疾患における性差の存在は、現在では明らかなものとなっています。さらに、アレルギーの症状別に見ても、男性がかかりやすい症状と、女性がかかりやすい症状にも、違いがあることもわかってきました。
また、年代別の比較も加えると、思春期以降、女性のアレルギー罹患率が上がることから、女性ホルモンの増加がアレルギー悪化に関わっているのでは、ということが考えられています。
これら、統計から性ホルモンの違いがアレルギー症状の違いの要因のひとつになっていることが推測されていますが、具体的なメカニズムまでは判明しておらず、治療に差があるわけではありません。
アトピー性皮膚炎においては、実は男性のほうが多いというデータと、女性のほうが多いというデータといずれもあります。しかし、現在、アトピー性皮膚炎そのもののメカニズムが大きく2種類にわかれている、という捉え方が広がりつつあり、そのどちらのメカニズムによるかで、男性に多いアトピーか、女性に多いアトピーなのかがある、と考える研究者がいます。結果、大きく、「アトピー性皮膚炎」として捉えると男女差がないように見えても、アトピー性皮膚炎のタイプ別に見れば、女性型、男性型が見えてくると考えられています。
参考資料:[EN_AK1_1]アトピーの性差(男女差)
アトピーの男女差
