カンジダにいつ感染するのか

カンジダの感染
ありふれたカビですから、日頃から生活のなかで接している可能性はあります。湿気の多い日本では、ほとんどの人にカンジダの感染があると考えられます。
いつごろ感染したのか、というと、だいたい生後2〜3ヶ月のころくらいから、と考えられます。その前に、赤ちゃんは母乳をもらい、まずは腸内細菌としてビフィズス菌を住わせますから、その後出会う菌の一つとなるのでしょう。
腸管の腸壁はぬるぬるした粘膜で覆われています。この粘膜に乳酸菌をはじめ、大腸菌など腸内に棲む菌がやってきて、棲み付きます。そこに母乳が入り、母乳の成分を栄養にできる菌が増殖します。腸管の腸壁にあった粘膜は、これらの菌が育つ培地となり、また菌による分泌物も加わって、さらに厚く形成されます。
腸内を埋め尽くす菌の集まりを腸内細菌叢といいますが、細菌叢内ではつねに多くの種類の腸内細菌の勢力争いが行われています。母乳は、よい菌の栄養となる成分が多いので、よい母乳をもらった赤ちゃんの腸内はよい菌がつよい勢力をふるう強力な腸内細菌叢を形成するのです。
このような熾烈な勢力争いが行われている腸内細菌叢が広がる腸管内では、カンジダ菌がやってきても、そこにいるだけで精一杯で、たくさん増殖しようにもそのスペースがありません。
勢力を強めると危険な存在に
カンジダ菌は常在菌とされているので、繁殖しなければ害はないとされていますが、近年ではカンジダの出す毒素による様々な難治症状があるのでは、と考えられています。
カンジダの繁殖によって多くの毒素が出されると、小腸の腸壁の細胞は炎症を起こします。免疫の要である小腸の腸壁が傷つくことは、免疫の機能を弱めますし、また吸収においても、充分に分解されていないような大きな分子のものを通過させてしまうようになります。
抗生物質投与が悪玉菌増殖のチャンス
しかし、抗生物質を投与されると、腸内の細菌叢は殺されてしまい、腸管内の細菌叢は荒れ野と化してしまいます。この荒れ野に、それでも生き残った菌がいたとします。この時がチャンスとばかり、勢力を一気に拡大しようとします。それが例えば、元のとおりのよい菌ならば問題ないのですが、カンジダ菌や大腸菌などの悪い菌なら腸内環境は一気に悪くなってしまうことになります。抗生物質の投与後に、急に下痢をしたり便秘をするようになったら、腸内細菌叢のバランスが崩れてしまったことを物語っています。
深刻なのは腸管粘膜が足りないとき
上記のように、腸管内の菌のバランスで、私たちの健康が大きく左右されます。とはいえ、それが数日の便秘や下痢で済めば、大した問題ではありません。最も深刻なのは、この菌が根付く腸管粘膜が充分にない時です。粘膜がなければ、そこにいくらよい菌や、その栄養が入って来ても、きちんと定住することができません。
疾病や疲労、加齢など何らかの理由で腸壁からの分泌物がへり、充分に腸管粘膜を形成できなくなると、粘膜がないために腸壁は剥き出しになるかたちとなります。この時こそ、カンジダが恐ろしい存在になるときなのです。
勢力を拡大したカンジダは、腸管から組織へと侵入し、血管内へとはいり、血液にのって体の各部へと広がります。
そして、腎臓、肺、肝臓、脳など、様々な臓器に悪影響を及ぼします。
抗真菌薬は、最後の手段
抗生物質は細菌を殺す薬で、真菌に対して作られた薬ではありません。真菌であるカンジダは、真核生物で、細胞の形もヒトとよく似ていて、カンジダを殺す薬を作れば、ヒトの細胞も殺すことになってしまいます。カビだけを殺す薬を作るのは、とても難しいことなのです。
現在、内臓に発症するカビへの薬として5種類ほどあるといわれますが、どれにも副作用があり、使うのは万事手を尽くし、薬によってカビを殺すしかない段階にならなければ使われない、といいます。
資料:[EN_CANDIDA.ATOPY_1]

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