「免疫」という言葉が生まれたのは、ジェンナーによる種痘の成功にあたりますが、最初はまさに字のごとく、疫病を免れるしくみや、それに繋がる医術を指していました。
しかし、その後、多くの発見を経て、現在、「免疫」とは、生物が自らの生命活動を維持するため、自分と他者を見分けた上で、必要なものであれば獲得し、敵であれば排除する機能によって、体や、健康状態を防衛することをさします。
免疫のしくみは複雑かつ多岐にわたって仕組まれており、対象となるものに個別に対応するしくみがあるかと思えば、体内のネットワーク全体で情報を共有し、対応したりすることもあります。
実に多様である免疫のしくみのうち、これまでに部分的に解明されているものも多くあります。解明されている部分については、症状や患部への処置方法が確立されるわけで、医療によって回復に導くことができるわけですが、解明されていない部分が関わる場合、その対処は非常に難しくなるのです。
処置についても、対処療法しかないものが多く、それゆえ一旦発症すると、克服することは難しく、「原因物質の除去」が最も安全で有効な方法として考えられてきました。
【Column】免疫のしくみの解明がアレルギーの改善に繋がる
