自律神経とアトピー

[痒みの発生に関わる自律神経の働き]

アトピーの改善に重要であると考えられるアクションとして、腸内環境以外にもう1つ挙げられるものがあります。それが、自律神経バランスの調整です。

 

アトピー性皮膚炎の痒みは、1日中痒いということはあまりなく、夕方や就寝時など、1日の中でリラックスした時間に強くなる傾向があります。この説には様々なものがありますが、中でも自律神経の作用によるものとする説が最も注目されていると言えます。

 

自律神経とは、私たちの体のリズムを司り、活動と休息のバランスを取って、体の健康を保つ仕組みの中枢となっている神経系統のことです。

自律神経には交感神経と副交感神経があり、交感神経は体が活動しようとする時に活発に動けるよう支援し、副交感神経は体が休もうとしている時に、体を休息モードにしてンテナンスを促進する働きを持っています。

この2つは、いわば両極のモードを司っていますが、働きの強さや量はできるだけ同じ分量にしなければ、自律神経全体としてのバランスが崩れてしまうことになります。例えば、たくさん活動した日の夜には、休息もたくさん必要になります。交感神経が強く働いた後は、その分、副交感神経が働く時間も重要になるのです。

 

自律神経バランスは免疫系の働きにも作用することが分かっていて、交感神経、副交感神経どちらの働きが強すぎても、何らかの不調が表れてきます。

免疫器官で働くTh1とTh2細胞の働きとも関連していて、交感神経が強く働いている時はTh1の働きが強まり、副交感神経が強く働いている時はTh2の働きが強まるとされています。夕方や夜などの時間帯は副交感神経が強く働くタイミングであり、Th2の作用も強くなると考えられています。アトピー性皮膚炎を含むアレルギー反応全般で、この時間帯に症状が悪化しやすいのは、このためだと考えられているのです。

 

[副交感神経の作用で放出される炎症物質]

また、近年、副交感神経の働きは、「炎症の発生そのものにも関わっている」と考えられています。副交感神経が働くと、肥満細胞という炎症物質を抱え込んでいる細胞を刺激し、炎症物質を放出させることに繋がります。

肥満細胞は体内の各所にありますが、例えば皮膚組織にある肥満細胞が炎症物質を放出すれば、その近辺の皮膚に炎症が発生することになります。副交感神経の働きが過剰に強くなっていると、その分、炎症物質の放出も多くなると考えられていて、アレルギー症状の悪化をさらに促進させる要因になっているとされています。

 

詳しくは第5章で

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