ここでは現代の食生活ではどうしてもとりすぎてしまったり、知らず知らずのうちに取り込んでしまうような、リスク因子をご紹介します。ここまで様々な食品や栄養素を解説してきましたが、逆に悪玉菌繁殖に繋がるポイントについて少しご紹介します。
①食べている油のバランスが悪い(移動)詳しくは、「EPA」で
現代人は摂っている油の質やバランスが悪く、その影響でアレルギー症状など表れているとの指摘も多く挙がっています。
私たちは食生活の中で、油脂そのものを食材としてなかなか認識していません。しかし、どんな食べ物にもたいてい含まれています。特に加工食品には多く使われていることが多く、その種類も偏っていて、近年、心臓疾患を招く要因になるなどして世界的に問題視される「トランス脂肪酸」が多いことでも注意しなければなりません。
油脂は、消化の過程で腸内細菌叢に影響します。また、油脂に含まれる脂肪酸の種類や量によっては、体内代謝の過程で炎症物質の過剰な生成を招くものもあります。このため、アトピー性皮膚炎においても、油脂の摂取バランスはよく問われます。
摂取バランスを考える時は、主な構成成分である脂肪酸に着目しますが、脂肪酸の違いには見た目で判別できるものもあります。例えば、常温で固まる油脂には「飽和脂肪酸」が多く、液状の油脂には「不飽和脂肪酸」が多く含まれています。まずは、固まる油や揚げ物、スナック類に含まれる飽和脂肪酸の割合を減らし、液状の不飽和脂肪酸の割合を増やすことから始めましょう。
それから不飽和脂肪酸の種類にも気を配るようにし、特に魚やナッツに含まれる「オメガ3系脂肪酸」を多く摂るように心がけます。この油は腸内細菌叢にも良い働きをし、アレルギー症状を緩和するとされています。
とはいえ、摂り過ぎはアレルギーを悪化させるともされています。魚であれば1日に1切れ、ナッツであれば1日に20~30g程度とされています。
②糖の摂取量が多い(移動)詳しくは、「すい臓」で
アトピーの原因の1つとして注目されているカンジダは、糖を栄養にして発酵します。ですから、お菓子など甘いものをよく食べる人ほど、カンジダを増やしてしまいがちです。
だからといって、人間のエネルギー源としても重要な糖を一切摂らないのも危険です。食事で必要な炭水化物はきちんと摂取し、砂糖をたくさん使ったものについては控えるようにします。果物に含まれる果糖もカンジダの栄養になりますから、ビタミン補給として必要量摂る以上は、たくさん食べない方が良いでしょう。
③食品添加物が多い
食品には長く保存したり見た目をより良くするために、化学的に合成された添加物が使用されることがあります。添加物は基本的に人体に害のない量や質のものが使用されますが、これらの中に腸内細菌を減らしてしまうものがあると考えられています。できるだけ、天然の食材から作られたものを選びましょう。
④ポストハーベストが多い
ポストハーベストとは、野菜や肉類、魚介類などの生育過程、輸送過程などで用いられた農薬や抗生物質などを指します。現代社会における大量生産、遠隔輸送が一般化した食品流通においては、これらがいくらか入ってしまうことは避けられない部分もありますが、ポストハーベストに含まれる成分が体内に入って悪さをする恐れも指摘されています。
できるだけ地元の食材を利用するなどして、ポストハーベストを体に入れない努力をしたいものです。やむを得ず使用しなければならない時は、きちんと処理をしたり、ものによっては思い切って食べないという選択肢もあって良いのかもしれません。
⑤環境ホルモンが多い
化学合成樹脂で作られた容器などからにじみ出ると言われる環境ホルモンも、腸内細菌を減らすと言われています。高い温度の食材を入れたり、容器に入れたままのレンジ加熱などは避けた方が良いでしょう。(レンジ可と書いてあっても、注意した方が良いです。)
⑥水道水に含まれる塩素、トリハロメタンが多い
腸内細菌叢が薄いと、悪玉菌の勢力は大きくなります。腸内細菌を減らす要因は、すなわち悪玉菌を増やす要因ともなるわけです。
近年言われているのは、水道水に含まれる塩素やトリハロメタンによる作用です。これが体内の腸内細菌を殺してしまい、カンジダの棲みやすい腸内環境に導いてしまっていると言われています。(詳しくは第4章「生活圏に応じた対策を」で解説します)