知っておきたい栄養素⑦EPA(エイコサペンタエン酸)

アレルギー症状が蔓延する原因のひとつとして、現代人の食生活における油脂の質やバランスの悪さを指摘する声も多く挙がっています。油脂は消化の過程で腸内細菌叢に影響しますし、体内では細胞膜の構成要素となったり、エネルギー源として使われたりします。しかし、油脂の摂取バランスが悪いと、代謝の過程でロイコトリエンなど炎症を招く物質の過剰な生成を招き、肥満だけでなく、アレルギーをはじめとする様々な症状に繋がると考えられているのです。

私たちは食生活の中で油脂の存在をなかなか認識していませんが、どんな食べ物にもたいてい含まれていて、動物性食品なら動物性の油脂が、植物性食品なら植物性の油脂が含まれています。また、油脂は含まれる脂肪酸によっても性質や機能が異なっていて、主に常温で固まる油脂には「飽和脂肪酸」が、液状の油脂には「不飽和脂肪酸」が多く、さらに不飽和脂肪酸のなかにはオメガ3、6、9系の脂肪酸があって、これらを適度なバランスでとることが私たちの健康を支えます。しかし、現代人にはこのバランスが大きく偏っている人が多く、飽和脂肪酸、オメガ6系脂肪酸の摂りすぎと、オメガ3系脂肪酸の不足が問題視されています。

特にオメガ3系脂肪酸は腸内細菌叢の善玉菌を増やし、過剰な炎症反応を抑えるとしてアレルギーをもつ人には摂取を勧められています。

[おすすめ食材:シソ油]

オメガ3系脂肪酸を多く含む食品としては、特に油ののった背の青い魚やナッツが挙げられます。一般に  120グラム程度の切り身を1日に1切れ程度食べれば必要とされるオメガ脂肪酸を摂れるとされていますが、必ずしも魚でなくとも、1日に20~30g程度のくるみやアーモンドなどのナッツ類を日頃から利用することでも摂ることができます。また、シソや亜麻仁、えごまなどの実にも含まれていて、これらを絞った油も最近はだいぶ流通するようになってきました。オメガ3系脂肪酸は加熱に弱いため、これらの食材をあまり加熱せずに利用することが効率よく摂取するためのポイントになります。

また、体にいいとはいえ、やはりバランスが大切ですので、オメガ3系だからといって摂りすぎは禁物です。また、種類に限らず、油脂はどれも1gあたり9kcalと高いカロリーを持ちます。量としてはあくまで脇役程度になるよう、心がけます。

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