プロスタグランジンとは
不飽和脂肪酸のひとつであるアラキドン酸から体内で合成される生理活性物質(エイコサノイド)。
プロスタグランジンは体の各部で認められる。またその整理作用の発現には、プロスタグランジンの受容体の存在も関わっている。
免疫に大きく関わるプロスタグランジン
プラスタグランジンは、体内で発熱や痛みをおこす働きをする。
体内にウィルスが侵入した場合、これを殺すために、侵入箇所に白血球がかけつけ、対処を行う。このとき、白血球の指令により、プロスタグランジンが生成され、侵入箇所近辺に炎症をおこし、ウィルスを熱で殺すよう指示する。風邪やインフルエンザウィルスに感染し、発熱する場合も同じ作用がある。この作用によって侵入したウィルスを熱で殺す働きが私たちの体には備わっている。
しかし、この方法は効果的ではあるが、リスクもある。熱による攻撃が強すぎると、私たちの体自体もまいってしまうことがある。これを防ぐのが、解熱剤による効果である。
プロスタグランジンと月経
プロスタグランジンには数種類(PGA、PGB、PGC、PGD2、PGE1、PGE2、PGF2α、PGG、PGH2、PGI2、PGJなど)あるが、中でも月経に関わるのが、PGE2、PGF2αとされている。
月経において、子宮で生産されたプロスタグランジン(PGE2、PGF2α)が、子宮内膜から分泌され、子宮の収縮と、経血の排出を促すが、過剰分泌されると、その働きを強め、不快な症状の元凶となってしまう。
特に、血管の拡張を司り、炎症を促進させる働きのあるプロスタグランジンE2(PGE2)が過剰生成される場合、痛みは激しくなるとされている。
そのため、月経に伴う痛みの緩和などには、このプロスタグランジンの体内合成を阻害する作用のある薬が用いられこともある。
また、経血の排出に伴い、プロスタグランジンが体外へ排出されれば、症状は緩和されるため、すみやかな排出を促すこと(血流をよくし、停滞させない)も大切である。
さらに、予防的に、PGE2とは反対の働き、すなわち、抗炎症の作用のあるプロスタグランジンE1(PGE1)、プロスタグランジンE3(PGE3)の生産性を増やすことで、PGE2の働きと拮抗させ、結果、症状を緩和させる、という理論もある。PGE1、PGE3は、γリノレン酸の摂取によって、体内で合成される。γリノレン酸の摂取が生理痛に有効である、とする発表もある。
しかし、脂肪酸の摂取は、相対的なバランスを摂る必要があるため、これだけに傾いても問題が生じる可能性があると考えられている。
プロスタグランジンとアトピー
炎症として挙げられる問題のひとつに皮膚症状がある。つよいカユミと炎症が続く皮膚症状にアトピー性皮膚炎がある。アトピー性皮膚炎の原因は患者ごとに違うとされているが、多くは白血球の過剰な働きによるものであることがいわれている。その根治は難しく、様々なアプローチが模索されている。
このアトピーの症状緩和において、プロスタグランジンについても考慮される場合がある。
近年の食生活においては、リノール酸摂取が過剰傾向にあり、そのため、体内でアラキドン酸が過剰生産され、アラキドン酸からプロスタグランジンへの変換が過剰に行われる事により、様々な炎症の長期化、深刻化がおきている、とする説もある。
参考資料
ウィキペディア
http://ja.wikipedia.org/wiki/プロスタグランジン
アメーバニュース「これでもう薬に頼らなくてOK!生理痛を抑えられる食べ物」
http://news.ameba.jp/20120405-466/
女性の健康のここカラダ「あなたに合った鎮痛薬の選び方」
http://women.cocokarada.jp/sp/naigai/0901/index.html
たんぽぽ院長のつぶやき「月経痛」
http://tampopoinchyo.blog40.fc2.com/blog-entry-868.html
「油脂の新しい選び方」
著:名古屋市立大学薬学部教授 奥山治美
提供:大塚製薬株式会社
http://www.otsukakj.jp/med_nutrition/iyaku/abura/abura.pdf
アメリカンビタミンショップ「アトピー性皮膚炎とプロスタグランジン」
http://www.vitamin-shopper.com/p/usa/07/01/00003.aspx
いのうえ小児科・アレルギー科クリニック 「アトピー性皮膚炎を正しく理解してなおしていきましょう」
http://www.syouni.jp/atopy.html