腸管は単に食物の栄養を消化吸収する場として見られてきましたが、免疫においても非常に重要な役割をもっていることが解って来ています。
とくに、腸管内のコンディションには、腸管内に棲み付く細菌叢バランスの関与が重要であることが判明していて、腸管内の細胞と細菌叢の菌が密接に関わり、働くことで、食物の消化吸収、さらには危険な侵入物か否かを的確に判断して健康を守っている事がわかっています。
逆に、腸内細菌叢が充分に形成されていないと、腸管内の免疫細胞は判断をあやまりやすくなり、また腸管の働き自体も弱まると考えられています。さらに、悪玉菌が優勢になると、腸管は炎症を起こしやすくなると考えられています。悪玉菌とは、本来人間の腸管細胞と組んで腸管免疫を支えてくれる、ビフィズス菌や乳酸菌などとは異なるが、腸管内で生きて行ける細菌や、真菌などです。カンジダも当然、悪玉菌です。
腸管で激しい炎症が起きると、「炎症性腸疾患」という重大な病気となり、人間の生命は危機を迎えます。
入院するなどして適切な治療が必要になります。
一方で、そこまでの激しい症状がない場合でも、腸内細菌叢が健全でない腸管は傷つき易く、常にいくつかの炎症が腸管のどこかにある状態が続く、と考えられています。すると、本来は必要な栄養分だけを通過させるはずの腸管からは、まだ消化しきれていない大きな分子も通過させてしまい易く、このようなものが血中に入ることで、全身性の疾患にも繋がるのではないか、と考えられているのです。
欧米では、このような漏れ易くなっている腸のことを「リーキーガット」と呼び、そのことから様々な症状に繋がって行く状態を「リーキーガットシンドローム」と呼んでいます。
参考:https://en.wikipedia.org/wiki/Leaky_gut_syndrome
サンスター 健康道場「腸のおもしろ話 第3回 リーキーガットって知っていますか?」
(http://www.kenkodojo.com/column/guts/detail3.html)
腸内環境の悪化は、時に激しく、時に密かに進行し、免疫機能全体を狂わせる〜リーキーガット・シンドローム
