現代でも、多くの謎をはらむ人体ですが、それでもその謎を解くカギのありかは手にしています。それはDNAの情報の解読です。
しかし、この膨大な量の情報一つ一つを解読するには、それこそ多くの科学者、技術者を揃え、さらに気の遠くなる程の時間を費やす必要がありました。ひとつの大学や、研究所が取り組んだところで、とても手に負える情報量ではありません。しかし、「人間」という生物を構築するすべての情報は確かにそこにあるのです。この情報こそ、人類共通の財産であり、また今後訪れるかもしれない人類存亡の危機には必ず必要になる情報です。
1990年、アメリカは、エネルギー省と厚生省によって、コンピュータを用いた解読プロジェクトを計画します。これをヒトゲノムプロジェクトと呼び、これに関して、国際協力も募りました。国家間、また商業的な参加も加わり、プロジェクトの初期段階は予定よりもスピーディに進みます。開始から10年の年にあたる2000年6月26日に、情報の下書きに相当する部分、ドラフト配列の解読が終了し、その後、2003年4月14日に解読完了宣言がなされました。解読された情報は公開され、その働きや関連性の解明が現在も行われています。
さて、解読された全ての情報がどのように働いているのかについての全容解明はまだ先になりますが、それでもこれまでに明らかになったものも数多くあります。
遺伝子のどの部分に変異があると、どのような病気になりやすいのか、あるいはどのように反映されるのかが判明したものについては、個人のもつDNA情報を照らし合わせることで、その人のなりやすい病気がわかったり、先天性の症状であるか否かがわかるわけです。
ガンやアルツハイマーなど、現在でも多くの患者が存在し、また治療の難しい病気においてはこの情報を活用した予防や治療が期待されています。アレルギーにおいてもそうで、原因がはっきりしなかったり、重度のアレルギーの原因解明に役立てようとする動きも出てきています。
参考:https://ja.wikipedia.org/wiki/ヒトゲノム計画
ヒトゲノム解析センター:ヒトゲノム計画とは
http://hgc.jp/japanese/humangenome-j.html
ヒトゲノムマップ
http://stw.mext.go.jp/series.html
遺伝情報の解読で人類は究極の医学に到達するか
