アトピー性皮膚炎などのアレルギー増加が社会問題になっていたのは、日本だけではなく、海外、とくに欧米では同じような推移がありました。1970年代以降の急激な増加率は異常だと捉えられていたのです。
しかし、もともと、欧米では日本よりもアレルギー罹患率は高く、アレルギーを専門とする医師は日本よりも多くいました。欧米でのアレルギーには、花粉症やぜんそく、食物アレルギーが多く、食べ物や空気などを介して体内に入ったもののうち、何らかが起因して発生している、つまり、体の中で起きている現象が原因であることの認識は日本よりも古くから根付いていました。アトピー性皮膚炎においても、単に皮膚のうえでの症状としてではなく、体内での現象の解明に早くから着目され、食事や栄養摂取を注意深く観察し、推測される原因物質を除去することが勧められていました。
しかし、免疫のしくみが明らかになったり、分子生物学からの新たな栄養学的アプローチが試みられるようになり、それまでの、いわば回避型のアレルギー対応に変化がみられるようになります。
栄養の過不足がアレルギーの改善にも関わっている、という発表もされるようになり、原因物質の除去だけでなく、積極的に摂るべき栄養についても、研究されるようになっていきます。アレルギーを改善するための食事指導や栄養摂取方法が広く実践されるようになると、そのデータも蓄積されていくようになりました。
「原因物質の除去」から、積極的なアプローチへ
