[3]バリア機能を高める
1:まずは外側から~皮膚バリア機能を強化する
皮膚のバリア機能を強化する[ビタミンA]
アトピー性皮膚炎患者の皮膚を調べると、フィラグリンという皮膚組織の潤い保持を司る成分が少ないことが分かっています。フィラグリンの形成不全は、遺伝的要因でも起きますが、年齢やストレスなどから神経やホルモン分泌が影響を受けても起きます。どんな人でもフィラグリン不足はおきる可能性があり、これによって皮膚バリアの破綻が起きる可能性があるのです。また栄養素の不足によって組織の新陳代謝に異常がおき、フィラグリンの形成不足が起きることも考えられます。とくに皮膚組織の新陳代謝に重要な亜鉛が不足するとフィラグリンの生成量も減ると考えられていて、ここでも亜鉛の重要性がうかがえます。
さらにもうひとつ、アトピー性皮膚炎の皮膚組織では「TSLP」というサイトカイン、これは細胞が他の細胞や組織にメッセージをおくるときに使う物質ですが、これが多く分泌されているのが確認されています。とくにTSLPは、真菌感染した細胞が出すメッセージ物質と考えられていて、皮膚を構成する細胞ケラチノサイトがカビなどの真菌の侵入を感知し、発していると考えられています。しかし、本来、皮膚の細胞にはみずからこうした菌を殺菌する成分「ディフェンシン」を分泌する力があり、TSLPのようなメッセージ物質をたくさん放出するはずはないのです。ところがそのTSLPが多いということは、ディフェンシンを用いた殺菌作用がうまく働いていない可能性が考えられます。ディフェンシンは細胞を守ると同時に、汗や皮脂と一緒に皮膚の上に分泌され、皮脂膜バリアとしても機能します。
アトピー性皮膚炎の人の皮膚は老人の肌のように元気がなく、表面もカサカサしていて、皮脂膜バリアの形成も十分にできていません。そこで細胞の活力を与える栄養素のビタミンAの補給が効果的であると考えられます。ビタミンAはディフェンシンの分泌も促進すると考えられています。さらにビタミンAはTSLPによって活性化した炎症性の細胞の働きを抑制する働きもあるとされています。
菌感染を受けたケラチノサイトが出す物質(TSLP)に2型自然リンパ球が反応する
ビタミンA→ディフェンシン分泌
(3) 2型自然リンパ球の働きを抑える
霊芝→TSLP分泌抑制