小腸はタンパク質の分解においても要所となっています。多くの消化酵素が働き、タンパク質を小さなアミノ酸にまで分解して吸収します。この分解が充分にされないと、体を作るタンパク質合成に必要なアミノ酸が得られません。万が一、傷ついた腸壁から未消化のタンパク質が漏れてしまったら、これを標的としたアレルギー反応に繋がってしまいます。小腸内で充分な消化酵素が働くことは大変重要なのです。
ところが食べ物の中には、小腸内で働く消化酵素の働きを邪魔する物が含まれていることがあります。
水銀をはじめとする、いわゆる重金属類です。水銀は元々自然界にあるもので、私たちは食材と一緒に取り込んでしまう可能性があります。
多くの水銀は無機水銀といって、多少の摂取なら大きな害はないとされていますが、有機水銀は過去に起きた水俣病という公害病の原因物質としても有名です。
過剰に取り込むと、脳をはじめとする組織に蓄積し、神経障害をも引き起こします。現在でも妊娠期や授乳期の女性には、水銀を多く取り込みやすい種類の魚などは、過剰な摂取を控えるよう指導されることがあります。
食べ物と一緒に消化器内に取り込まれた水銀は、食物繊維と一緒に排出されることが分かっています。水銀をはじめとする重金属類の体内への蓄積を防ぐ上で、積極的な食物繊維の摂取は大変重要です。
しかし、中には消化の過程で非常に微細な分子となり、腸内にいすわる水銀もあります。タンパク質分解酵素の働きを阻害し、アレルギーを招く未消化タンパクを増加させると考えられています。
微細な水銀は食物繊維でも捕らえにくく、腸内の絨毛の間にいつまでも漂っています。このような水銀の排出には、植物の色素成分である葉緑素がより有効であるとされています。これはクロロフィルとも呼ばれます。
[オススメ食材:緑の濃い野菜]
葉緑素を多く含む食材としては、やはり緑色の濃い野菜、特に葉ものの野菜が挙げられます。調理についてですが、葉緑素は熱で変性してしまう特徴があるので、生で食べるか加熱するなら長時間にならないようにし、鮮やかな緑色が失われない程度にしておくといいでしょう。また、植物の細胞は硬い細胞壁を持ち、葉緑素はその中にあります。よく噛んで細胞壁を壊し、中の葉緑素が出てきやすくすることも大切です。