●知っておきたい栄養素⑥ ベータグルカン(食物繊維)

平成25年に行われた理化学研究所、東京大学、慶應義塾大学 先端生命科学研究所による「腸内細菌が作る酪酸が体内に取り込まれて免疫系に作用し、制御性T細胞という炎症やアレルギーなどを抑える免疫細胞を増やす働きがある」という発表以降、酪酸は注目を浴びています。 

酪酸を多く含む食品としては発酵バターがあります。しかし、脂質の塊である発酵バターだけで、大きな器官である大腸で生産される量の酪酸をまかなうのは少々無理があります。 

多くの大腸内細菌が働いて発酵が起きてこそ、腸内環境は整い免疫系は働きますので、単に酪酸を摂れば良いわけではなく、健全な腸内発酵の上で得られるようにすることが大切です。 

では、大腸内発酵でより酪酸が生成されるためには、どんな食事をすれば良いのでしょうか。酪酸を生成するのは大腸内細菌の1つ酪酸菌です。酪酸菌は食物繊維をエサにして発酵します。中でも水溶性食物繊維でより発酵が進むとされています。水溶性食物繊維には、果物のペクチン、野菜のネバネバ成分のムチン、海藻に含まれるフコイダン、アルギン酸などがあります。 

これらの成分は消化器官の粘膜を保護する役割があり、消化吸収も助ける作用があります。最終的に大腸に入ると、酪酸菌などのエサになって酪酸の生成を促し、免疫の働きに貢献するのです。 

水溶性食物繊維は消化の過程の最初から最後まで、ずっと活用されているというわけです。できるだけ毎食摂れるよう心がけたい栄養素です。 
[オススメ食材:大麦] 

水溶性食物繊維の中で近年、特に注目されているものに大麦のベータグルカンがあります。大腸だけでなく小腸での作用も確認されていて、小腸の免疫細胞を刺激して免疫系機構全体に作用し、マクロファージやナチュラルキラー細胞などの働きを活性化するとされています。アレルギーやガンを予防するとして、海外では1日3千ミリグラムという目安を設けて積極的に摂取を勧める国もあります。 

 

(写真:ゆでた押し麦(大麦)) 
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